建設業許可の区分 その2

建設業 作業

こんにちは。

愛知県豊川市の行政書士おおいし法務事務所の大石法良です。

前回に引き続き、今回は、一般建設業と特定建設業の区分について解説します。ざっくりしたイメージでいうと、より大規模な工事を発注者から直接請け負うためには、特定建設業許可が必要となります。

<特定建設業で出来る事>

取引や会社の拡大、取引先の要望、金融機関の要望など、事情は様々ですが、下記に該当する場合、「特定建設業」の許可が必要になります。

建設業者が建設業の業務において、発注者から直接請け負う(元請けとなる)工事が、

  • 建築一式工事では1件につき、6,000万円以上(税込み)の工事を下請けに発注する。
  • その他の建設工事では1件につき、4,000万円以上(税込み)の工事を下請けに発注する。

逆に言うと、上記の金額に満たない請負金額での発注であれば、「一般建設業」の許可で足りるという事になります。注意するべきなのは、あくまでも元請けとして請け負う工事であり、下請けとして工事を請け負った場合は、一般建設業許可業者でも再下請に出す場合の金額においては制限はありません。また、元請け工事の場合でも、発注者からの直接に請け負う金額自体に制限はありません。尚、金額は、下請け1社についてではなく、その工事1件について下請けに発注した金額の合計額で判断します。

特定建設業許可は、下請け業者の保護や工事における適正な施工という面で、一般建設業許可に比べて許可の審査基準が厳しくなっています。許可要件が「専任の技術者」「財産的基礎」の面で格段に厳しく、次の7業種については、「特定建設業」とされ、「専任の技術者」は、高度な資格等の取得者である必要があります。

施工技術の確保と、それに応える技術力の充実などを促すものとして指定される業種

→ 土木、建築、管、鋼構造物、舗装、電気、造園

<特定建設業許可取得のメリット>

  • 元請け業者として、より上位の工事が受注出来る。
  • 公共工事等で下請け工事金額を気にせずに、元請けとして営業活動が積極的に行える。
  • いわゆる「カンバン」として、他業者や消費者からも信頼を得やすい。

<特定建設業許可のデメリット>

  • 一般建設業許可に比べ許可の審査基準が厳しい(専任技術者、財産的基礎等)。
  • 特定建設業許可業者は、施工体制台帳及び施工体系図を工事現場ごとに作成しなければならない。
  • 下請け代金の支払い期日についてや、支払い方法についての規制がある。
  • 下請け業者が労働者に対して労賃不払いがあった場合、その立替え払いをしなければならない。

一般建設業許可を特定建設業許可に、または特定建設業許可を一般建設業許可にする事を「般・特新規」といいます。「般・特新規」では、特定建設業の要件を満たした上で、あらためて特定建設業としての新規申請を行う必要があります。

<申請時の注意点>

  • 許可区分が異なるため、新規申請の扱いになるが一部書類については省略することができる。
  • 審査の可否や処理時間を考慮して、一般建設業許可の有効期間が充分に残っている時点で余裕をもって申請する必要がある。
  • 財産的要件は、更新のたびにクリアできる見通しがあるか。あるいは財務内容の一層の充実が図れるかをしっかりと見定める。
  • 専任の技術者として、雇用状態が長期的に安定していると考えられる者、特に中小企業は経営層に当たる人を配置する事が可能か、確認する。
  • 大臣許可業者については、特定の資格をもつ技術者が各営業所に複数いるか、またはそのような体制を整えていく計画を確認する。

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